野球やクイズで活躍するお笑い芸人、ファミマ店内cmの声をあてるコスプレイヤー。

お笑い芸人が始球式で憧れのプロのマウンドに立って号泣したり、クイズ番組で優勝して感激しているのを見るとなんだかなぁって思う。
同じく、ファミマで合宿免許の宣伝ボイスを喋っているのが、声や演技を生業としている人ではなくコスプレイヤーであることにももやもやした感情を覚える。

前者に対しては、「本当にやりたいこと」をするためにお笑い芸人という職業と知名度を利用しているの?と思うし、後者には、その人のネームバリューさえ使えればやっていることは何でもいいの?と思ってしまう。


……というようなモヤモヤを1ミリでも共有してくれる人には、朝井リョウの『スター』をぜひ読んでいただきたい。

映画の登竜門である賞を獲得したあと、方や映画監督への弟子入り、方やユーチューバーという別々の道に進んだふたりの主人公。
だけど現在の世の中には思い描いた「王道」は残されていなくて……その変化に一人は内側から翻弄され、一人は外側から揺らぶされる。
曲折の一年を経て、彼らが見出したものとは?

ここでは目の粗い感想にとどめておくので、ちょっとでも気になった人はぜひ一読されたい。


読んだ後自分が抱いたものはこんな感じ。皆が見上げるような山や金字塔というものはもはや無くなっていて、目の前にはいくつもの同じ大きさの塊が並んでいるだけ、ということ。
それを前提に世の中を見ること。



この文章はそんなことをファミマで思い出したときの思考です。