フレッシャーズオープン振り返り後編(準決勝~大会終了まで)

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フレッシャーズオープン本大会での使用問題に「割とガッツリ」言及しています。問題集を購入する予定のある方は、こちらの文章も問題文を購入後に読むことを推奨させていただきます。また、記録集については既にboothとクイズ宅急便からお求めできます。意欲的な問題群であるため、ぜひご覧ください。

q-tak.com

 

【準決勝開始まで】※試合内容には触れていませんので、飛ばしても問題ないと思います。

 

予選終了後、ペーパーの得点が判明した。平均27.3点、最高点が39点に対して、自分の点数は30点。準決勝へ行くには心許ない点数である。

予選4Rを2位で終えた時は進出ラインを守り切ったつもりでいたが、いざ数字として出揃うと急に不安と後悔が。やはり2×後も攻め続けるべきだっただろうか……

不安になると後ろ向きな計算を始めてしまうもの。4Rは全12組に分かれて戦い、順位ごとに8ポイント差が付く。つまり自分はここで12人に8点差を付けられている。いかに前の2ラウンドでトップを取ったといっても、ここで総まくりにあっている可能性は否めない。なぜならペーパーの点数が高くないから。

結果的にはこの不安を払しょくするためには、あと2点、つまり最高点との点差を8点以内には抑える必要があったわけだ。今後も自分が北海道から遠征してオフ大会に参加するとして、行くたびに今回のような思いをするのは勘弁ねがいたい。ペーパー力を高めようと誓った。

そんなことを考えている中、得点集計が長引き生殺し状態に。心の一部では「なんやかんや言っても突破してるだろう」と思っている自分もいたので、(気が気でないなりに)なるべく気力、体力を温存しようとは思っていた。

 

終結果が発表され、全体6位で準決勝へ。不思議と喜びよりも安堵がまさった。まだ試合ができる。

その後は敗者復活戦を観戦。思った以上にチャンスが広く良いルールだったけど、自分が出ていても突破はまず無理だっただろう。

 

【準決勝】4〇通過

 

準決勝はタイムレースと通過クイズのコース別。

当日朝にレギュレーションが配られた時からここは通過クイズにしようと決めていた。前編でも言及したように、タイムレースでの反応勝負は現状の自分の強みが活かせないと思っていたためだ。対して通過クイズならばある程度問題をじっくり聞きながらの勝負になるし、問題の並び次第でチャンスが巡って来やすいだろうと踏んだ。しかし、その見通しはその後修正を余儀なくされる。

 

希望通りのコース選択に決定し、先に行われるタイムレースを観戦した。

結果は予選総合1位とペーパー1位が敗退となる波乱の展開。特に予選2~4Rの戦いぶりを見て良い刺激をいただき、自分にとってこれ以上ないペースメーカーとなってくれたイチスケ選手の敗退は衝撃だった。

決勝進出を決めた2名の戦い方は、とにかくスピードと手数で上回り、多少の誤答を飲み込みながら答えられる問題の占有権を高めていた。当落線上に残れるかは別として、誤答失格が無い中で勝ち抜けられるのは2人だけ。負けたらそこで終わりというシチュエーションで勝負をかけ続け、それをものにしていた。

 

そんな試合を目の当たりにして、これから試合に臨む自分はどうだ。「問題がハマれば勝てる」などとのほほんと構えていたら、それこそ何もできずに試合が終わるかもしれない。他の選手はきっと、必死に上振れを引こうと勝負をかけてくるはずだ。自分もしっかりと勝負をかけた上で、自分が上振れられる問題の並びを待たなければいけない。

「攻めなければ勝てない」そう決心して準決勝の椅子に座った。

 

準決勝の通過クイズ。0点スタートの-3点失格というルールで、タイムレースほどではないにせよ、いちおう予選よりは誤答に甘いルール。誰かが通過チャレンジに立った時には、誤答を許容したチャージが必要になるだろう。それを出来る状態にするためには、誤答から入らないことが最重要だ。

というわけで序盤、1点になるまでは1×失格のつもりで細心の注意を払った押しを心掛けた。一方でその間に、「石ノ森章太郎」「しかばね」あたりの問題を先ほどのタイムレースさながらの押しで持っていかれ、「攻めなければ勝てない」という認識は確信に変わった。

直後「オーパーツ」で初日。ちなみに「ピリレイスの地図」は準備期間に覚えた物の一つだった。こういう形で結果に繋がって嬉しい。

1点を持ったことで、やりたかった攻めのクイズを開始。「領海」を聞いて「12海里」を答え2点目。その後「高山病を防ぐため登山」だけで押してしまい誤答(「高地順応」と答えた)するも、誤答を計算内に入れた戦い方をしているんだと自分を落ち着かせる。

 

その後数問後「最澄」でリカバリーし、自分含めた4人が立て続けに通過チャレンジに臨む急展開。自分は3人目のチャレンジを「国風文化」で阻止するも、自分自身も「ウェブトゥーン」を知らず阻止される。

ここにきて正解が2つとも日本史。後日思ったことなのだけど、この1日予選からずっと、日本史で易しい問題が来ることが多かったため、体が反応しやすくなっていたのかもしれない(もちろん攻めダルマ状態になっていたというのが一番の要因)。

 

1点に戻った直後すぐさま「刑務所」でリカバリー。攻め続ける姿勢を自分自身に言い聞かせる。

ただ次の誤答(×友禅〇つづれ織り)はいただけない。自信のないジャンルでのスルー押しはロクな目に合わないからやるべきではないと身をもって感じた。ここで気持ちが少し萎えてしまう。

束の間、くまだ選手が「ハイティー」「経験値」の2問を正解して1人目の決勝進出を決める。道中は知っている人が少なそうな問題で着実に得点を重ね、チャレンジ時に一気に加速して回答権をもぎ取った戦い方は、まさにゲームを通じてやるべき事をやったという感じ。

 

残りの1枠を4人で争う構図になり、直後にじろう選手が2連答。特に「アネモネ」を押し負けたことで、心の中で自分を激しく叱責した。「アドニスであれ」と思って勝負に行くところだろう、と。

萎えかけた気持ちに再び火が付き、ここにきて最大限の攻めっ気が自分に戻る。「アップル」の正解は「果物」「IT」からの連想ゲーム。「日付変更線」の正解は、「あの辺の島国でその手の小競り合いをやってそう」という憶測。これで2度目の通過チャレンジをもぎ取った。

次の1問は歌い出し問題。"いいの?吸っちゃっていいの?「もう無/ 聞いたことがあったので押した。

サビは聞いたことある曲だったが、「曲名がこれ」というのは特に意識したことが無かった。だけど、問題文がサビの頭じゃなくて"そこ"から始まるということは、サビの頭の歌詞が答えになってるってことで良いんじゃないか?と、シンキングタイム中に確信度が増す。

『ヴァンパイア』攻めにこだわったことで引き当てた上振れだった。半年近く照準を合わせていた決勝戦の最後の1枠が、手中に収まる。

 

このように、最後の3連答はいずれも確証が無い状態で押して正解にすることができた。攻める気持ちを持ったことで、「確証の無い問題の並び」を「自分にハマる問題の並び」にした。ただ気持ちで勝とうと思うだけでなく、それを試合の中でどう表現して、勝ち筋に結び付けるのか。それが実践できたことは今後の糧になる。

そして、この展開になったのは、敗者復活戦と準決勝第1試合を先に見ていたことが本当に大きい。そういう巡り合わせにも幸運を感じざるをえない。

 

結果:2位通過

 

【決勝戦】10〇4×

 

第2試合が自分の勝ち抜けで終わったこと、そして時間が押している関係上、直後に決勝戦が開始された。RPG好きとして連戦は燃えるシチュエーションではあるものの、10〇4×に頭の中をアジャストすることを怠ってしまった。

目標として掲げていた決勝進出を達成したことによる満足感を処理するのにも手間取った。

 

というわけで「攻めなければ勝てない」モードを引きずったまま試合に入る。

1問目。「賽は投げられた」で先制。予選で散々行った1問目攻撃がここでも決まる。敗者復活戦の1問目が「剣ヶ峰」であったことから、ここでもシチュエーションに合った正解を用意しているのでは……などと考えていたわけでは実はなく、単純に攻めダルマモードが継続しており、押してから後付けで思ったに過ぎなかったりする。ただ、準決勝での日本史問題のように、無意識下では1問目に対する押しやすさの心理が働いてた、というのはあったのかも?

次に回答権を得たのは「メルクリウスと同一視」でヘルメスが正解の問題。逆ならいける(メルクリウスを聞かれたら答えれる自信があった)ので気が逸って押してしまったが思い出せず、早々に×を付ける。

 

他の選手も順調に初日を出す中、まだフルスピードでやってる自分は「太田豊太郎」で

2〇目を取る。正直、この正解が1日を通してのベストだと思っている。

「相沢謙吉という/」で押して、作品名と主人公の名前の二択を考えた。その最中、「相沢謙吉の名を出して『舞姫』を聞くなら、書き終わり(嗚呼、相沢謙吉が如き良友は世にまた得がたかるべし。)を使って作問するのではないか。だからこの聞き方をするならば、正解は主人公の太田豊太郎の方だ」という見切りをシンキングタイムでやり切れたからだ。

 

その後、前日名古屋にいた地の利を活かしてか「日本六古窯」を正解するなど、一生懸命正解は出すものの、「桜」「チミン」「洗礼」(いずれもにゃんほゃ選手)とコスパの良い正解をしっかりと重ねられ、1×を背負っている割にリターン負けしている。

 

井上尚弥vsドネア」をスルーした辺りから徐々に落ち着きを取り戻す。(なぜかナルバエスと頭の中で混同した)

やや潜伏気味の立ち回りをしつつ、「エリクソン」「このすば」「スマッシュ」で正解を重ねる。エリクソンは得意ジャンル、『このすば』はたまたま見ていた作品、「スマッシュ」は元バドミントン部ゆえに行けたという、いずれも押し合いを制したわけではない正解。この時点でトップタイの6〇を持つ。

 

その後の「団体信用生命保険」を「連帯保証人」と誤答するわけのわからないミスが敗着といっていいだろう。準決勝の「つづれ織り」の問題に通ずるミス。これによって2×目を貰い、元々速度の無い自分にとって大きな足枷となる。

 

その後は両者0×のくまだ選手、にゃんほゃ選手が一気に加速し、デッドヒートを演じる。この辺りの両者の取り方を見ると、リスクリターンの取り方が自分とは根本的に違っていて、いかに自分の押しが未熟かを思い知らされる。

そんな両名がリーチとなったところで、自分は「カタリスト」を「ブラックスワン」と誤答して3×目。将棋でいう形作り気味のチャージ押し。思えばこの日は、経済ジャンルの問題をまるで取れなかったな。得意ジャンルを落とした失格リーチで、優勝争いの資格を失ったことを自覚する。

(ちなみに、本ブログのブログ名も、何の因果か『語りスト』。)

 

直後、「秋」を正解したにゃんほゃ選手が優勝を決める。「~はたくさんありますが、」の前フリで十中八九決められるなと思ったけど、動く気力も度胸も残っていなかった。

 

というわけで、決勝戦は6〇3×の3位入賞に終わった。こんなに長い時間クイズを出来たこと、決勝に進めたこと、力を出し切れたことに対する充足感をひとまず味わった。

 

【反省と課題】

やっぱり指が弱い。

優勝したにゃんほゃ選手は、タイムレースで発揮した力をそのまま決勝でも活かし、「取れそう」な問題の回答権をことごとく奪っていった。

逆に自分は、「取れそう」が確定する前のポイントで押して周りを出し抜くことがはできるが、「取れそう」自体の見極めとその反応速度では大いに後塵を拝していた。大会開始前の見立て通りの課題である。

加えて、10〇4×の戦い方自体も問題だった。最初にハイリスクな動きをして後半尻すぼみになっていった自分に対して、優勝争いをした二人はリスクをおさえた入りをして、ゴールが近づいたところでリスクを上げていった。ここまで対照的だと最後になすすべが無くなるのも当然だろう。

 

とはいえ10〇4×に対するアプローチ方法はそこまで問題ではないと思っている。やはり目下の課題は、正解できる問題に対して(上位層と同等のスピードで)しっかり反応する力を付けることだ。

今後は、より自分に厳しい押しをするように心がけたい。シンキングタイム中に正解を出しに行く押しを普段からすることで、わかりそうな問題に対する嗅覚を養いつつ、基礎的なスピードを高めていきたい。

それをやっている過程で、誤答がかさむことだろう。しかし、その痛みを多く感じた分だけ、感覚は研ぎ澄まされていくはずだ。

ただしそれは、AQL仕様の戦い方に影響を与えない範囲で取り組まなければならない。フレッシャーズオープンが終わった今、大目標は再びAQLになったからだ。

 

【作問が道を切り開く】?

所属サークルの長の言だ。

 

自ら問題を作ることで、知識が広く深くなっていき、またどんな問題が最近聞かれるかのトレンドを追いかけることもできる。利点が盛りだくさんであるため、時間があるなら手間を惜しまずやっていきたいところだ。

自分が特に感じているのは、問題の切り口や問題文の内容を考える作業を通じて、自分が「アリ」と感じる問題文の範囲が広くなったこと。今回のフレッシャーズオープンでも意欲的な切り口の問題が散見された。それらの問題を打ち返す能力は、自ら問題文を作ることで養われたことに間違いない。

もしも今大会を通じて、自分の押しを面白いと思っていただけたなら、その方にはぜひ自分が作問した問題を読んでいただきたい。そのエッセンスが入っている問題群となっているはず。

 

watjevv.booth.pm

 

突然の販促で「これがやりたかっただけだろ」とお思いかもしれない。ぶっちゃけ49%そう。いただいた購入費やブーストは今後の遠征費にさせていただくつもりなので、ぜひ応援のほどお願いいたします。

 

【お疲れ様でした】

 

改めて、大会開催に関わった全ての皆さん、試合で熱戦を繰り広げてくれた選手の皆さん、大会に向けてサポートしてくれたチームのみんな、全ての方のお陰で最高にスリリングで楽しい1日を過ごせました。ありがとうございました。

そして、この冗長な文章を読み切ってくださった読者の皆さんにも感謝します。

 

また、関東や名古屋、もしかしたらそれ以外の場所にも行きたいと思っています。大会だけじゃなくて、出来ることなら武者修行をしに行きたい。大会でがっつり戦った人たちと、フリバなり何なりでわいわい押し合うのをやってみたい。もちろんオンラインでも。

 

 

大会が終わって1カ月近く経ち、終わった直後は有言実行の結果を出せたことへの満足感が優っていたが、改めて振り返ると決勝はじめ、未熟なプレイングに対する不甲斐なさと「あそこまで行ってどうして優勝できなかったんだ」という悔しさがにじみ出てきた。それはつまり、まだまだ上を目指せる要素があるということ。

社会人になってから始めたことで、ここまで明るい道のりが眼前に広がっていることは本当に幸運なことだ。そう気づかせてくれたフレッシャーズオープンだった。