……に見つかった後の話

「一定数以上のRTやインプレッションに達するとおかしな人に見つかってしまう」というのはTwitterでよく言われる話だ。

そこで気になるのが、その状態に入っている人が果たして自分自身を律することが出来てるのかということ。

 

コンスタントに数字を出すインフルエンサーは、「おかしな人」からのリアクションもコンスタントに受けている。

どんなに無難な内容であってもそれは現れるし、逆にインフルエンサー自身が誤った内容を発信したときにも当然現れる。

 

その際に、誤った内容に寄せられる正当な指摘や苦言、疑問等から目を逸らし、おかしな人から受ける攻撃だけにフォーカスして被害者の立場を確保したくなる欲求を、果たしてどれだけ抑えられるのか。

 

今やインフルエンサーはその構造上、自分に寄せられるリアクションの中からいつでも被害者の立場を調達することができる。

「おかしな人」の攻撃範囲に入った有名人には往々にしてその分「おかしなファン」もいるわけで、その手合いはインフルエンサー自身がどう間違っていようが被害者と見なして同情してくれるだろう。

 

そういう点でインフルエンサーには、被害者の立場を確保してそこに甘んじるのではなく、自分自身の何が問題か?どこか改めるべき箇所があるだろうか?と、(飛んでくるリアクションとは無関係に)省みる力が求められる。そういった自律心は、ありきたりだがエコーチェンバーの形成を予防するために必要なスキルだと思う。

 

ラインを明らかに超えた誹謗中傷への対処と平行してその作業を行うことはにわかには想像しがたい営為だ。「有名税」とは単に悪口を言われることだけを指すのではなく、その過程を通じて自分自身を振り返れなくなることも含んでいるのかもしれない。

確かに労働はクソだが

確かに労働はクソだが、それと同じくらい自分自身もクソだということを、ここ最近一層自覚するようになった。

 

小説の『おいしいごはんが食べられますように』は「弱々しくて回りからかわいそうだと思ってもらえる側の人」と「がんばり屋でやせ我慢できてしまう側の人」の対比を描いた作品だが、その中に当てはめていえば自分は「がんばり屋でもないくせに独りで勝手に消耗している人」だ。たちが悪いうえに他者から理解されようがない。

 

ええ格好しいではなく、今それを自覚できてよかったと後々言えるようにしたい。

フレッシャーズオープン振り返り後編(準決勝~大会終了まで)

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フレッシャーズオープン本大会での使用問題に「割とガッツリ」言及しています。問題集を購入する予定のある方は、こちらの文章も問題文を購入後に読むことを推奨させていただきます。また、記録集については既にboothとクイズ宅急便からお求めできます。意欲的な問題群であるため、ぜひご覧ください。

q-tak.com

 

【準決勝開始まで】※試合内容には触れていませんので、飛ばしても問題ないと思います。

 

予選終了後、ペーパーの得点が判明した。平均27.3点、最高点が39点に対して、自分の点数は30点。準決勝へ行くには心許ない点数である。

予選4Rを2位で終えた時は進出ラインを守り切ったつもりでいたが、いざ数字として出揃うと急に不安と後悔が。やはり2×後も攻め続けるべきだっただろうか……

不安になると後ろ向きな計算を始めてしまうもの。4Rは全12組に分かれて戦い、順位ごとに8ポイント差が付く。つまり自分はここで12人に8点差を付けられている。いかに前の2ラウンドでトップを取ったといっても、ここで総まくりにあっている可能性は否めない。なぜならペーパーの点数が高くないから。

結果的にはこの不安を払しょくするためには、あと2点、つまり最高点との点差を8点以内には抑える必要があったわけだ。今後も自分が北海道から遠征してオフ大会に参加するとして、行くたびに今回のような思いをするのは勘弁ねがいたい。ペーパー力を高めようと誓った。

そんなことを考えている中、得点集計が長引き生殺し状態に。心の一部では「なんやかんや言っても突破してるだろう」と思っている自分もいたので、(気が気でないなりに)なるべく気力、体力を温存しようとは思っていた。

 

終結果が発表され、全体6位で準決勝へ。不思議と喜びよりも安堵がまさった。まだ試合ができる。

その後は敗者復活戦を観戦。思った以上にチャンスが広く良いルールだったけど、自分が出ていても突破はまず無理だっただろう。

 

【準決勝】4〇通過

 

準決勝はタイムレースと通過クイズのコース別。

当日朝にレギュレーションが配られた時からここは通過クイズにしようと決めていた。前編でも言及したように、タイムレースでの反応勝負は現状の自分の強みが活かせないと思っていたためだ。対して通過クイズならばある程度問題をじっくり聞きながらの勝負になるし、問題の並び次第でチャンスが巡って来やすいだろうと踏んだ。しかし、その見通しはその後修正を余儀なくされる。

 

希望通りのコース選択に決定し、先に行われるタイムレースを観戦した。

結果は予選総合1位とペーパー1位が敗退となる波乱の展開。特に予選2~4Rの戦いぶりを見て良い刺激をいただき、自分にとってこれ以上ないペースメーカーとなってくれたイチスケ選手の敗退は衝撃だった。

決勝進出を決めた2名の戦い方は、とにかくスピードと手数で上回り、多少の誤答を飲み込みながら答えられる問題の占有権を高めていた。当落線上に残れるかは別として、誤答失格が無い中で勝ち抜けられるのは2人だけ。負けたらそこで終わりというシチュエーションで勝負をかけ続け、それをものにしていた。

 

そんな試合を目の当たりにして、これから試合に臨む自分はどうだ。「問題がハマれば勝てる」などとのほほんと構えていたら、それこそ何もできずに試合が終わるかもしれない。他の選手はきっと、必死に上振れを引こうと勝負をかけてくるはずだ。自分もしっかりと勝負をかけた上で、自分が上振れられる問題の並びを待たなければいけない。

「攻めなければ勝てない」そう決心して準決勝の椅子に座った。

 

準決勝の通過クイズ。0点スタートの-3点失格というルールで、タイムレースほどではないにせよ、いちおう予選よりは誤答に甘いルール。誰かが通過チャレンジに立った時には、誤答を許容したチャージが必要になるだろう。それを出来る状態にするためには、誤答から入らないことが最重要だ。

というわけで序盤、1点になるまでは1×失格のつもりで細心の注意を払った押しを心掛けた。一方でその間に、「石ノ森章太郎」「しかばね」あたりの問題を先ほどのタイムレースさながらの押しで持っていかれ、「攻めなければ勝てない」という認識は確信に変わった。

直後「オーパーツ」で初日。ちなみに「ピリレイスの地図」は準備期間に覚えた物の一つだった。こういう形で結果に繋がって嬉しい。

1点を持ったことで、やりたかった攻めのクイズを開始。「領海」を聞いて「12海里」を答え2点目。その後「高山病を防ぐため登山」だけで押してしまい誤答(「高地順応」と答えた)するも、誤答を計算内に入れた戦い方をしているんだと自分を落ち着かせる。

 

その後数問後「最澄」でリカバリーし、自分含めた4人が立て続けに通過チャレンジに臨む急展開。自分は3人目のチャレンジを「国風文化」で阻止するも、自分自身も「ウェブトゥーン」を知らず阻止される。

ここにきて正解が2つとも日本史。後日思ったことなのだけど、この1日予選からずっと、日本史で易しい問題が来ることが多かったため、体が反応しやすくなっていたのかもしれない(もちろん攻めダルマ状態になっていたというのが一番の要因)。

 

1点に戻った直後すぐさま「刑務所」でリカバリー。攻め続ける姿勢を自分自身に言い聞かせる。

ただ次の誤答(×友禅〇つづれ織り)はいただけない。自信のないジャンルでのスルー押しはロクな目に合わないからやるべきではないと身をもって感じた。ここで気持ちが少し萎えてしまう。

束の間、くまだ選手が「ハイティー」「経験値」の2問を正解して1人目の決勝進出を決める。道中は知っている人が少なそうな問題で着実に得点を重ね、チャレンジ時に一気に加速して回答権をもぎ取った戦い方は、まさにゲームを通じてやるべき事をやったという感じ。

 

残りの1枠を4人で争う構図になり、直後にじろう選手が2連答。特に「アネモネ」を押し負けたことで、心の中で自分を激しく叱責した。「アドニスであれ」と思って勝負に行くところだろう、と。

萎えかけた気持ちに再び火が付き、ここにきて最大限の攻めっ気が自分に戻る。「アップル」の正解は「果物」「IT」からの連想ゲーム。「日付変更線」の正解は、「あの辺の島国でその手の小競り合いをやってそう」という憶測。これで2度目の通過チャレンジをもぎ取った。

次の1問は歌い出し問題。"いいの?吸っちゃっていいの?「もう無/ 聞いたことがあったので押した。

サビは聞いたことある曲だったが、「曲名がこれ」というのは特に意識したことが無かった。だけど、問題文がサビの頭じゃなくて"そこ"から始まるということは、サビの頭の歌詞が答えになってるってことで良いんじゃないか?と、シンキングタイム中に確信度が増す。

『ヴァンパイア』攻めにこだわったことで引き当てた上振れだった。半年近く照準を合わせていた決勝戦の最後の1枠が、手中に収まる。

 

このように、最後の3連答はいずれも確証が無い状態で押して正解にすることができた。攻める気持ちを持ったことで、「確証の無い問題の並び」を「自分にハマる問題の並び」にした。ただ気持ちで勝とうと思うだけでなく、それを試合の中でどう表現して、勝ち筋に結び付けるのか。それが実践できたことは今後の糧になる。

そして、この展開になったのは、敗者復活戦と準決勝第1試合を先に見ていたことが本当に大きい。そういう巡り合わせにも幸運を感じざるをえない。

 

結果:2位通過

 

【決勝戦】10〇4×

 

第2試合が自分の勝ち抜けで終わったこと、そして時間が押している関係上、直後に決勝戦が開始された。RPG好きとして連戦は燃えるシチュエーションではあるものの、10〇4×に頭の中をアジャストすることを怠ってしまった。

目標として掲げていた決勝進出を達成したことによる満足感を処理するのにも手間取った。

 

というわけで「攻めなければ勝てない」モードを引きずったまま試合に入る。

1問目。「賽は投げられた」で先制。予選で散々行った1問目攻撃がここでも決まる。敗者復活戦の1問目が「剣ヶ峰」であったことから、ここでもシチュエーションに合った正解を用意しているのでは……などと考えていたわけでは実はなく、単純に攻めダルマモードが継続しており、押してから後付けで思ったに過ぎなかったりする。ただ、準決勝での日本史問題のように、無意識下では1問目に対する押しやすさの心理が働いてた、というのはあったのかも?

次に回答権を得たのは「メルクリウスと同一視」でヘルメスが正解の問題。逆ならいける(メルクリウスを聞かれたら答えれる自信があった)ので気が逸って押してしまったが思い出せず、早々に×を付ける。

 

他の選手も順調に初日を出す中、まだフルスピードでやってる自分は「太田豊太郎」で

2〇目を取る。正直、この正解が1日を通してのベストだと思っている。

「相沢謙吉という/」で押して、作品名と主人公の名前の二択を考えた。その最中、「相沢謙吉の名を出して『舞姫』を聞くなら、書き終わり(嗚呼、相沢謙吉が如き良友は世にまた得がたかるべし。)を使って作問するのではないか。だからこの聞き方をするならば、正解は主人公の太田豊太郎の方だ」という見切りをシンキングタイムでやり切れたからだ。

 

その後、前日名古屋にいた地の利を活かしてか「日本六古窯」を正解するなど、一生懸命正解は出すものの、「桜」「チミン」「洗礼」(いずれもにゃんほゃ選手)とコスパの良い正解をしっかりと重ねられ、1×を背負っている割にリターン負けしている。

 

井上尚弥vsドネア」をスルーした辺りから徐々に落ち着きを取り戻す。(なぜかナルバエスと頭の中で混同した)

やや潜伏気味の立ち回りをしつつ、「エリクソン」「このすば」「スマッシュ」で正解を重ねる。エリクソンは得意ジャンル、『このすば』はたまたま見ていた作品、「スマッシュ」は元バドミントン部ゆえに行けたという、いずれも押し合いを制したわけではない正解。この時点でトップタイの6〇を持つ。

 

その後の「団体信用生命保険」を「連帯保証人」と誤答するわけのわからないミスが敗着といっていいだろう。準決勝の「つづれ織り」の問題に通ずるミス。これによって2×目を貰い、元々速度の無い自分にとって大きな足枷となる。

 

その後は両者0×のくまだ選手、にゃんほゃ選手が一気に加速し、デッドヒートを演じる。この辺りの両者の取り方を見ると、リスクリターンの取り方が自分とは根本的に違っていて、いかに自分の押しが未熟かを思い知らされる。

そんな両名がリーチとなったところで、自分は「カタリスト」を「ブラックスワン」と誤答して3×目。将棋でいう形作り気味のチャージ押し。思えばこの日は、経済ジャンルの問題をまるで取れなかったな。得意ジャンルを落とした失格リーチで、優勝争いの資格を失ったことを自覚する。

(ちなみに、本ブログのブログ名も、何の因果か『語りスト』。)

 

直後、「秋」を正解したにゃんほゃ選手が優勝を決める。「~はたくさんありますが、」の前フリで十中八九決められるなと思ったけど、動く気力も度胸も残っていなかった。

 

というわけで、決勝戦は6〇3×の3位入賞に終わった。こんなに長い時間クイズを出来たこと、決勝に進めたこと、力を出し切れたことに対する充足感をひとまず味わった。

 

【反省と課題】

やっぱり指が弱い。

優勝したにゃんほゃ選手は、タイムレースで発揮した力をそのまま決勝でも活かし、「取れそう」な問題の回答権をことごとく奪っていった。

逆に自分は、「取れそう」が確定する前のポイントで押して周りを出し抜くことがはできるが、「取れそう」自体の見極めとその反応速度では大いに後塵を拝していた。大会開始前の見立て通りの課題である。

加えて、10〇4×の戦い方自体も問題だった。最初にハイリスクな動きをして後半尻すぼみになっていった自分に対して、優勝争いをした二人はリスクをおさえた入りをして、ゴールが近づいたところでリスクを上げていった。ここまで対照的だと最後になすすべが無くなるのも当然だろう。

 

とはいえ10〇4×に対するアプローチ方法はそこまで問題ではないと思っている。やはり目下の課題は、正解できる問題に対して(上位層と同等のスピードで)しっかり反応する力を付けることだ。

今後は、より自分に厳しい押しをするように心がけたい。シンキングタイム中に正解を出しに行く押しを普段からすることで、わかりそうな問題に対する嗅覚を養いつつ、基礎的なスピードを高めていきたい。

それをやっている過程で、誤答がかさむことだろう。しかし、その痛みを多く感じた分だけ、感覚は研ぎ澄まされていくはずだ。

ただしそれは、AQL仕様の戦い方に影響を与えない範囲で取り組まなければならない。フレッシャーズオープンが終わった今、大目標は再びAQLになったからだ。

 

【作問が道を切り開く】?

所属サークルの長の言だ。

 

自ら問題を作ることで、知識が広く深くなっていき、またどんな問題が最近聞かれるかのトレンドを追いかけることもできる。利点が盛りだくさんであるため、時間があるなら手間を惜しまずやっていきたいところだ。

自分が特に感じているのは、問題の切り口や問題文の内容を考える作業を通じて、自分が「アリ」と感じる問題文の範囲が広くなったこと。今回のフレッシャーズオープンでも意欲的な切り口の問題が散見された。それらの問題を打ち返す能力は、自ら問題文を作ることで養われたことに間違いない。

もしも今大会を通じて、自分の押しを面白いと思っていただけたなら、その方にはぜひ自分が作問した問題を読んでいただきたい。そのエッセンスが入っている問題群となっているはず。

 

watjevv.booth.pm

 

突然の販促で「これがやりたかっただけだろ」とお思いかもしれない。ぶっちゃけ49%そう。いただいた購入費やブーストは今後の遠征費にさせていただくつもりなので、ぜひ応援のほどお願いいたします。

 

【お疲れ様でした】

 

改めて、大会開催に関わった全ての皆さん、試合で熱戦を繰り広げてくれた選手の皆さん、大会に向けてサポートしてくれたチームのみんな、全ての方のお陰で最高にスリリングで楽しい1日を過ごせました。ありがとうございました。

そして、この冗長な文章を読み切ってくださった読者の皆さんにも感謝します。

 

また、関東や名古屋、もしかしたらそれ以外の場所にも行きたいと思っています。大会だけじゃなくて、出来ることなら武者修行をしに行きたい。大会でがっつり戦った人たちと、フリバなり何なりでわいわい押し合うのをやってみたい。もちろんオンラインでも。

 

 

大会が終わって1カ月近く経ち、終わった直後は有言実行の結果を出せたことへの満足感が優っていたが、改めて振り返ると決勝はじめ、未熟なプレイングに対する不甲斐なさと「あそこまで行ってどうして優勝できなかったんだ」という悔しさがにじみ出てきた。それはつまり、まだまだ上を目指せる要素があるということ。

社会人になってから始めたことで、ここまで明るい道のりが眼前に広がっていることは本当に幸運なことだ。そう気づかせてくれたフレッシャーズオープンだった。

フレッシャーズオープン振り返り前編(準備~予選4Rまで)

attention!

少しだけですが、第4回フレッシャーズオープンの本大会で使用した問題に言及しています。今後当該大会の記録問題集で早押しクイズをする可能性がある人は、それまで読まない方がいいかもしれません。

また、記録集については既にboothとクイズ宅急便からお求めできるようです。意欲的な問題群であるため、ぜひご覧ください。

booth.pm

 

【始動】

 

2022年1月23日、自分の所属するワンダーネットは3勝5敗でAQL1次リーグを戦い終えた。その時から、「次のターゲットはフレッシャーズオープンだな」とおぼろげながらに思い始めていた。

 

初めて早押しボタンを触ってから2年数カ月、ワンダーネットにスカウトされ、本格的に競技者としてクイズを始めてから1年で、AQL全国大会進出。クイズプレーヤーとして贅沢な経験をさせてもらった一方、「個人戦でも活躍したい」という欲求が自然と芽生えた。

そこで、昨年も出場していたフレッシャーズオープンに照準を合わせ、そこで最大のパフォーマンスを出せるように、逆算してクイズを行うようになった。(とはいえ、本格的に準備を始めたのは4月ぐらいからだった)

なお昨年のフレッシャーズオープンの結果は準決勝1stステップ敗退。負け方としても悔しさの残る敗退であり、それを踏まえると当然今年の目標は「決勝進出」だ。

 

【基礎づくり】

前回大会で見た決勝の様子や、自分の周りの参加資格者を見る限り(本当は見るまでもないのだが)、クイズ暦の浅い自分は指勝負に参加できる問題が少ない。「あっ、この問題指勝負の問題だったんだ」と後から気づくこともしばしば。

一方で、AQLでの経験から、「先読みや連想を周りより速く回して先にボタンを押す」というスキルに長けている自信があった(あらためてあの大会で得た経験値は計り知れない)。

そのため、「参加できる問題数を増やす」ことを念頭に、基本問題の充実を、知識ベース、問題文ベース双方で進めていった。具体的には「abc過去問をランダム100問表示し、自分が持たない知識や、クイズの問題文としての聞かれ方をメモする」を繰り返した。

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早押し力の向上面では、「易問の押し合いを念頭においた早押し技術」の習得に難儀した。チーム戦、とりわけ自作問で戦う上に誤答リスクの高いAQLでは、反射神経に頼った押しはあまり要求されない。しかし、個人戦、しかも誤答がある程度許容できるシチュエーションでの試合においては、反射神経を活用した戦いをしなくてはならない。それどころか、「ここの辺りで確定情報が出るだろう」といった決め打ちの押しを使うことすらある。

AQLでは左脳的な押しを武器に戦ってきた。個人戦では右脳的な押しをしないとボタンは点かない(この右脳、左脳の認識は正確ではない、多分間違っている)。そこへのアジャストは本当に苦労した。何なら大会が終わった今でも対応が済んだとは思っていない。

 

そのように必要なスキルの向上にいそしみつつ、ゴールデンウィークには、道内大会でフレッシャーズオープンの参加レギュに近い「ネクストブレイク杯」に参加した。決勝進出で自信と弾みになったが、一方で決勝で早押し力に関する前述の課題(とりわけ、反応すべき指問題の見極め力不足)が再度露呈した。収穫と課題を持ち帰れた良い大会だった。

 

【準備】

フレッシャーズオープン本番が近づき、基礎能力の向上だけでなく、より大会に特化した準備を始めた。

今年の第4回大会は、第3回までと主催者が替わっており、これまでの大会使用問題から傾向が変わるかもしれない。大会ホームページで例題を見た時も「本番もこんな風にエンタメ問題が並んだらキツいな」と思った。それでも、「誰が作るにしてもこれまでのフレッシャーズオープンの問題傾向を踏襲するはずだ」と見込んで、フレッシャーズオープンの過去の問題と代表のちぃさんが過去に出した問題集に目を通して、少しでも傾向を掴もうと試みた。

時事問題については自分自身でももちろんリサーチしたが、チームメイトをはじめ周囲の人が作問した時事問題を積極的に吸収した。時事対策は一人でやっても効果が薄い、多くの人が持ち寄ることで効果が何倍にも膨れ上がると実感した。なお、5月下旬からは時事問題の収集をストップした。使用問題もおおむね出揃っているだろう、これ以降の時事は作問されないと踏んだからだ。

予選ルールへの対応。7〇3×はさておき、短期決戦色の濃いルールを大人数で行う2R、3Rに対しては、自分の苦手意識込みで最大限の警戒をしていた。ありがたいことに大会直前はチーム練習でも予選ルール準拠のルールで押させていただいたり、直前対策企画を打っていただいたり、本番前日に名古屋に飛んで参加したワンダーネットのオフライン会では連答付き4〇2×をひたすら繰り返す時間を作っていただけた。その日は非常に豪華な参加メンバーの中、一度も失格せずに何度か勝ち抜けできたことで本番に向けた自信が増した。その時の自分の記録を付けたルーズルーフは当日お守りにしていた。

 

準備を終えて自分の実力をあらためて分析した。基礎知識についてはフレッシャーズオープンを戦い抜けるだけの質、量を確保した(ことにした)。早押しスキルについては、右脳的な押し(頻出問題への反射神経)は平均レベルだが、左脳的な押し(先読みと連想)では周りに有利を取れる。ルールへの対応は、この1年間での大会出場経験がそのまま武器になるだろう。本番の緊張への対応は、直近のネクストブレイク杯でうまく制御できた記憶が新しく、上手くやれるだろうと思っていた。

 

平均レベルまで押し上げた基礎力の上に、「左脳的な押し」「対策した時事問題」「本番力」を武器にして戦う。そんなコンセプトのもと大会当日を迎えた。

 

【予選1R:ペーパー】

かねてより、普段早押しで競っている人とペーパーで競うと、早押しの時よりも往々にして手ごたえがなかった。素点がそのままドライバーズポイントになるとはいえ、ペーパー自体の対策はせずに上がったはずの基礎力で何とか戦おうと試みた。

ネクストブレイク杯で「前の天皇誕生日」を聞かれて「現在の天皇誕生日」を答えるというミスをやらかしているので、凡ミスだけはするまいと思っていたが、TOEICのリーディング、リスニングの「各」最高点を聞く問題で990点と答えるミスを犯す。

「詰碁」は適当に書いたら当たった。難易度順に出題順が並んでいないというアナウンスがあったことから「とりあえず書いてみるもんだ」的な問題はどこかで来ると思っていたので、その通りトライしてよかった。

 

結果、50点中30点。平均よりはわずかに上、トップとは9点差。結果論だけど仮に4Rでトップの人と直接対決して順位で上回ったとしてもDPで捲れない点差が付いているわけで、決勝を目指すにはあまりに心許ない点数である。

 

【予選2R:3〇2×】

自分は1組目に参加。ペーパー集計前であり、あらかじめ完全ランダムで組まれた対戦カードで行う短期決戦であり、交通事故が起こりやすいラウンドと気を引き締めてかかっていた。

過去問から、初っ端「フレッシュ」問題が来るだろうとは思っていたが、何に当たりを付ければいいのかさっぱり思いつかなかったので思考をニュートラルに。「分からなかったけどフレッシュ問題が来た」ということで正解を取られるもメンタル的には好材料に。

続く2問目「さかまた」と聞いてシャチと答える問題を取って無事に始動することができた。余談だが、どちらかといえば右脳で押して取れたことは予選の間しばらく自身に繋がった。数問後、勢いそのまま「ステフェン・カリー」を聞いてスリーポイントシュートを答えて2〇目。

3〇目は100%の確信は無かったものの、得点差と勢いに乗じて「キャラバン」を答えて勝利。しっかり攻めて勝ち抜けられた、という経験もいい材料になった。

その後は40問読み切るまで手持ち無沙汰になったり、問読みさんの英語の流暢さに驚いたりしていた。

あと、2組目の1問目も「フレッシュ」問題であったことを聞き逃さなかった。

 

結果:1位(3〇0×)

 

【予選3R:連答付き4〇2×】

自分は2組目に参加。ペーパーの結果による組み分けで、顔見知りや名前を知っている人達と対戦することになり、自分のペーパーの出来について何かを察しつつ3R開始。このルールは昨日、えぐい面子で散々やったんだ。大丈夫。

1組目観戦中、1問目が「スタート」問題であることを観測。前ラウンドの様子から、1組目1問目が「スタート」問題なら2組目1問目も「スタート」問題でほぼほぼ間違いない、という確信をもって席についた。

その1問目、予測した分速く押せて「スタンディングスタート」を取り、狙い通りの先制に成功。連答権持ちの人は立ち上がる決まりのため、文字通り立って試合を始めることとなり、そういう意味でも「うまくできた問題だ」と正解後に思った。

(なお、希望的に予測していた問題はこんなもの。「『StaRt』『インフェルノ』などの代表曲がある、今年再始動したバンドは何でしょう?」→Mrs. GREEN APPLE。大外れである。)

 

しかしその後は獲得した連答権を活かすことができず、また2Rほど有利なポイント進行にもならず、気づけば他にもリーチ者がいる状態で3〇1×。1位にこだわるか、無理せずアベレージを取りに行くか……?

結果的には「攻めた」。「ポリティカルコレクトネスに配慮して今シーズンから使用/」でガーディアンズを答えて正解を取った。

「出来るならまだ押さない方がいい」タイミングだったと今でも思っている。にもかかわらず押しに行った理由は三つある。

一つ目は先述した、前日のワンダーネットでの実践練習。まったく同じルールで非常に強い人達と戦っていたため、自分の押しも強いものとなった。

もう一つは、「自分との相性が非常に良さそうだった」こと。自分自身も以前「ポリティカルコレクトネスに配慮して~」という前フリの問題を作ったことがあって、それゆえにこの問題は自分がシンクロしやすい構文だと思った。作問経験が解答者側で活きるという現象については後編でも触れようと思う。

そして三つ目、予選全勝で1位通過したイチスケ選手が、2,3Rで自分の裏の組でトップ抜けしたのを見ていたこと。もともと顔見知り(会ったのは当日が初だけど)の実力者で、ここまで同室かつ別の組であることからお互い応援し合っていた。2Rでは先に自分が勝ち抜け、あとからイチスケ選手が勝ち抜け。そしてこの3Rでは向こうが先に1位抜け。意趣返しされたような形となり、これは応えなくてはという考えが頭にあったのは確か。それを抜きにしても、決勝に上がる選手の押し、勝ち方とはこのレベルなのかと大きく刺激を受け、自分も決勝に上がれる戦いを意識することとなり、その結果の攻めた「ガーディアンズ」だった。

 

結果:1位(4〇1×)

 

【予選4R:7〇3×】

開幕前の自分の見立てでは、予選2,3Rで取りこぼした分の失点をここで挽回するプランだったのだけど、嬉しい誤算の2連続1位抜け。こうなってくると皮算用が顔を出す。

決勝進出ストレート枠9人に対して、2Rと3Rで連続1位を取れる人数は、最大6人。組み合わせや問題相性等々を加味するともう少し少ないはず。

となると、このラウンドの立ち回りは「1位を取りに行って1位が取れれば文句なしだが、2着でも十分にチャンスは残るので、1位だけにこだわる必要はない」となってしまった。これがこのあとのプレイングにケチが付く原因である。

 

試合開始。ちなみに自分はまた2組目で、1組目第1問が「はじめ」問題だったのでまた狙おうとしたが反応できず。というかしっかり反応できた正解者さんが上手だった。

(ヤマを張っていたのはこんなもの。「剣道の試合開始の合図は「はじめ」ですが、フェンシングの試合開始の合図は何という掛け声でしょう?」→アレ。これも大外れ)

続く2問目はまさかの自作被りであるにも関わらず押し負けるという体たらく。イマイチな流れを醸成してしまう。その後も、取れそうな匂いの強い問題を逃し歯がゆい思いをしながら、それでも正解を重ねて6〇到達。自分ともう一人が6〇0×で並ぶシチュエーション。ほかの選手は2〇前後で並んでいたはず(記憶曖昧)。

ここは1位取りに攻めてもいい場面ではあるが、攻め方がまずかった。顛末を先に言うと2連続誤答。2回目の誤答には自分でも文句は無い。「標高が非常に近くてクイズ的に紛らわしい山が二つある」という新しい知識に触れた上での誤答であり、戦術的にも技術的にも意味のある誤答だからだ。問題はその前。「自分は分からないけど相手が分かる問題だったらどうしよう」という曖昧な思考のもとで無理押しをしてしまった(一応、それまでの回答傾向からして危なそうなジャンルではあった)。それは形の上では攻めているものの、結果としては攻め「させられている」わけであって、行動としては負け筋のそれである。

6〇2×となった、その後の対応。最初に書いた通り、「2着でもチャンスは十分」という皮算用のもとこのラウンドに臨んでいた。また、リーチ者が二人、周りもある程度正解や誤答が出ていて、スルーも少なくなかったという状況。

良いところが殆ど出なかったラウンドであるが、ここで「完全閉店(確信を持ったスルー押し以外押さない)を決め込んで40問が過ぎ去るのを待つ」作戦に即座に切り替えられたことは(当然といえば当然ではあるが)好プレーであったと言いたい。「残りの問題数で、6〇まで押し上げてくる選手がいない」ことに賭け、その賭けに殉じたことも。

ただ、事実上触る権利を失った問題を聞いているときの不安と悔しさは今でも割と生々しく覚えている。

 

結果:2位(6〇2×)

 

 

予選2~4ラウンドを1位、1位、2位で終了。ぱっと見上出来も上出来だが、この「4Rだけ2位」という結果でのちに苦しみを味わうことになる。

後編に続きます。

みんはや

が、リニューアルされるらしい。
広告を消して以来このゲームには一切お金を払っていなかったので、お金を払わせてもらえる機会が出来そうなのは喜ばしいことだと思っている。

一方で心配な点がある。自分が思っているみんはやの良い所が失われてしまわないか?ということ。
良い所というのは、「アプリを起動したあと、ほとんど待たされることがなく一問目のクイズが出題される」ことだ。
このみんはやというゲーム、トップ画面からタップ回数たったの二回でマッチング完了まで進むことができ、通信待機時間もほとんど無い。その後はわんこそばのようにクイズが出題され、しかもその難易度は早押し(回答人数が限られる)ゆえに歯応えのあるものになっている。

某クイズRPGと比べてみよう。あちらでは大まかに以下のような手順でクイズが始まる。
アプリを起動し、ログインボーナスを受け取り、お知らせ画面を消して、マイページ画面に移ったらまたお知らせを消して、イベントを選択し、ストーリーを読んで(スキップして)、デッキを選び、必要に応じてデッキを編集して、クエストを開始し、またストーリーを読んで、ようやく一問目にありつけるのである。そしてその難易度は、ソロプレイで全問正解出来ることを念頭に作られた非常に易しいもの。
タップ回数にすればみんはやの何倍必要になるかわかったものではない。単純にクイズに触りたいと思ったとき、クイズRPGはあまりにも必要工数が多いのだ(そしてそれをわかっているからこそ、ストーリーゲー、キャラゲーに振り切ったゲーム設計になったのだろう)。

クイズ以外の要素を一切排除したアプリと、クイズ以外の要素を充実させ続けてきたアプリ。現状このようにきれいに棲み分けできているところを、今度のリニューアルで追加される要素によって両者を接近させることにならないか、それが心配である。欲を言うならばリニューアル後のみんはやでも、「一問目まで二タップ」でプレーできることを願う。


雀魂のようになってくれればいいと思う。どんなにキャラやボイスが実装されようとも、やること自体はどこまで行っても麻雀なのだ、といったように。

ノベルとトレランス

ここ最近、小説というものを読むのが億劫になってしまった。理由は雑に分けて三つある。

一つにはツイッターなどのSNSで、これまで気にしなくても良かった作者の肉声が聞こえるようになってしまったこと。これによって「あの人こんなこと考えながらあの話書いてたのか……」と思い知ることが増えた。特定のイデオロギーに偏っていたり、デマや偽科学に加担していたり。そんな光景を見ているうちに、「今自分が読んでいる小説も、作者の偏ったものの考え方のもとに書かれたもので、知らず知らずのうちにそのエッセンスを注入されているのではないか」と神経質になっていった。

そしてもう一つが、最近の読み手と書き手の間に通底する(自分の観測範囲の中でだが)、「生きづらさ」というキーワード。「ね、世の中はこんなに生きづらいでしょ?あなたが生きづらいのはあなたのせいじゃなくて世の中がいけないんだよ」という甘い囁きに対して身体が危険信号を発する。皆が世の中に対してお客様気分で生きるようになってしまっては社会は正しい方向に向かわなくなるし、少なくとも自分はそのように生きたくないと思っているつもりだ。それに水を差さないでくれ。

そして最後の一つ。物語を読んでいる最中に疎外感を感じることが増えた。マイノリティや特殊な生い立ちにある人を扱う話に対しては、そういった境遇を持たざる自分が置いてきぼりにされているように感じる。「私は○○という少数派であるがゆえに、このようなつらい思いをしてきた」「私は幼少期に家族や学校からこんな大変な目に遭わされてきた」お前はどうなんだ。何ら困ったこともなく成長して、少数派として苦労を味わったこともないくせに。と、物語とその登場人物からの非難の声が聞こえてくるようだ。



このようなことを考えるようになってから、純粋に小説の物語を楽しむことが出来なくなった。そして、物語の世界に広げられなくなってしまった自分の心の狭さに呆れる。

迂闊に小説を手に取れば、自分が物語の登場人物ではないことを思い知らされる。そして、「作者の偏ったイデオロギー」に感化されることを警戒して、登場人物に感情移入することもイマイチ出来ない。そうすることは、この現実世界をその物語に見立てる(この世は生きづらいという観念の押し付け)ことで、読者の持つ「自分の人生を生きる」気概を損なうことに繋がるからだ。

とはいえ信頼に足ると思っている作者の本は普通に読める。たとえば朝井リョウは前々から推していたが、『正欲』で自分の中での信頼が揺るぎないものになった。
あとは、冒険小説やSF小説の類は割と抵抗なく読めたりする。登場人物の特徴以前に、世界そのものが特殊だからだろう。

物語を味だたせるようなものを何も持っていない主人公の成長物語を知っていたら教えてほしい。それを読むことで、自分の周りに流れている停滞した空気を少しでも動かしてくれるような一冊を。

快方段階における解放の解法

人生を、何のせいにもしないで生きるのって大変。

飛び抜けてハードモードであるとはいえない自分の人生であっても、出くわした不運や不快感について「何かのせいにしてはいけない」と自らを律しながら(というかガマンしながら)生きることは多大な精神的負担を要する。

だから今まさに(経済的にせよ精神的にせよ)苦境に立たされている人が、自分の不幸をとりあえず何かのせいにすることはやむを得ないし、それによって精神的負担が一時的に軽くなるならば大いにそうすべきだと思う。

ただ恐らく、さいごに苦境から完全に抜け出す段においては、何かのせいにして負担を軽減するという作業はやめなければいけないし、やめられなければ苦境を抜け出せたとはいえないだろう。
「アレのせいで自分は不幸なんだ」「アレさえなければ幸せになれるのに」という考えは逆説的に、"アレ"が存在する限り自分は不幸であってもいいという考え(ライフスタイル)を導く。
真に精神的に憂いがない状態に持っていくには、そのライフスタイルから自らを解放する必要があるのだと思う。

ただ、苦境から立ち直る道半ばで無理にそれをやろうとして、自分がそれに堪えられなくなる(それで悪い結果を自身にもたらす)のなら、まだ何かのせいにしていた方がマシだ。それに健やかな心を持つ人であっても、適度に何かのせいにしてガス抜きを図っているだろう。
その辺の塩梅が難しい、と感じる今日この頃。